つのつの

キューポラのある街のつのつののレビュー・感想・評価

キューポラのある街(1962年製作の映画)
3.6
貧しい暮らしの中で身を粉にして働き勉強するという吉永小百合の役がなんか自分のイメージと違って新鮮でした。
いわゆる人情劇でそれこそALWAYSシリーズあたりの原点でしょうか。
だから正直「文部科学省推薦!」みたいな匂いのする物語でもあるのですが、演出やテーマは意外に攻めた内容でした。

遠景で何度も映される高架鉄道とそこに対比される貧窮な暮らしの生々しさ。
そこにプラスして北朝鮮への帰国問題も盛り込まれて(その着地が今日的に見るとどうなのかということは別として)いるのはこの映画の先鋭さを物語っています。
主人公ジュンが後半にかけて心が折れてしまうあたりの展開も結構エグかったりします(自分より裕福な家庭の同級生を見てしまうシーンの哀しさ!)。
またシーンごとの構図や撮影も意外といったら失礼ですがハッとさせられるものもありました。


そういった重いテーマを扱いつつも最後には普遍的な友情の尊さを歌い上げるのが感動的。
当時の風俗や朝鮮問題をちゃんと勉強してからもう一回見てみたいてます。
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