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侠花列伝 襲名賭博のRY0のレビュー・感想・評価

侠花列伝 襲名賭博(1969年製作の映画)
4.2
・2017/08/04

 1969年・日活。小沢啓一監督作。

 昭和初期の上州鹿沢を舞台に、貸元の許嫁の芸者(松原智恵子)が旅の博徒(藤竜也)を匿って恋仲になるも、貸元が敵に刺されて致命傷を負ったのを機に祝言を挙げ女任侠として組の跡目を継ぐ。かなり無理のある物語で、西部劇でいうとコルブッチ的なところがある。松原智恵子、藤竜也、梶芽衣子、高橋英樹の四角関係の行方が見どころ。

 結論からいうと傑作である。梶芽衣子は言うまでもないが、まず松原智恵子のかわいさが常識の埒外で、瞳をうるうるさせてみたりはらはら泣いてみたり、概ね美少女ゲームのそれになっている。自分の年代だと「真麻の親父」という印象しかない高橋英樹は役に合わせてニヒルかつ精悍な面構えで、とにかく役者が強い。

 シーンとしては三味線と長唄にしんしんと降る雪、女二人の丁半勝負、ラストの土砂降りの中の討ち入りなどが特に叙情的で印象に残った。ひと風呂浴びて敵を軽く斬り伏せてからドスを放り投げて去っていく梶芽衣子も痺れるかっこよさだった。

 ただ脚本がご都合主義なのもそうだが良くも悪くもメロドラマ的(画面も時折ぽわぽわしたソフトフォーカスがかかったりする)で、確かに東映の一部の任侠ものが持つ「神話的な悲劇性」はないように感じる。それでも松原智恵子の可憐さと梶芽衣子の美貌が5000兆点なのでトータルで傑作と言うほかない。
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