南森まち

ダウト 〜あるカトリック学校で〜の南森まちのレビュー・感想・評価

4.7
あるカトリックの小学校に対照的な二人の教師がいた。規則に厳格な女性校長、進歩的で優しい神父。
「生徒との不適切な関係」に関する疑念をもとに、彼らは対立していく。はたして疑念は真実なのか。話は二転三転していく…というお話。

テーマが「教師と生徒の不適切な関係」だが、描写はまったくないので全年齢対象なのも素晴らしい。無意味にハダカを出して子どもが見られない映画を作る製作者たちは、ぜひ見習ってほしい!

『スポットライト~世紀のスクープ~』と対になるような物語だが「事実」を追い続けた該当作と違い、こちらは「感情」が主題となっている。
差別と救済、厳格と寛容、愛情と欲望、この事件は見る人によって変わる『羅生門』のような群像劇。観終わった後もキャラクターの内面についてさまざまな考察ができる。

ストーリーの半分以上を占めるメリル・ストリープ、フィリップ・シーモア・ホフマンの会話劇の演技も巧み。

原作は演劇『ダウト 疑いをめぐる寓話』で、四人だけで演じる会話劇らしい。
うわー、これはいつか観てみたい。