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ダウト 〜あるカトリック学校で〜のdaiyuukiのレビュー・感想・評価

5.0
シスター・アロイシス(メリル・ストリープ)は、誰もが恐れる厳格な聖ニコラス・スクールの校長。彼女は進歩的で生徒たちに人気のあるフリン神父(フィリップ・ホフマン)を心の奥で嫌悪していた。ある日、シスター・アロイシスはフリン神父がひとりの男子生徒に特別な興味を示しているという噂と、それを裏付ける彼の言動を耳にする。目撃者も証拠もなく、あるのはただ“疑惑”だけ――。しかしシスター・アロイスは自分の抱く疑念を確信へと変え、フリン神父を追いつめる…。規律を重んじる厳格なシスターとおおらかに生徒を見守る神父と敬虔で純粋なシスターの関係と対立を通して、カトリック教会の描くのをタブー視された内紛(形骸化した規律を盲目的に信じるシスターと開かれた教会と進歩的教育を進める神父の対立に見える本質的な神の愛を見失いかけている教会の現状)、それを通して問いかけられている本当の愛とは信仰とは真実とは何かが、重く突き刺さりました。フィリップ・シーモア・ホフマンとメリル・ストリープの演技合戦が、見事でした。シャンリー監督が脚本を書いたオリジナルの舞台劇が上演されたのが2004年。カトリックの神父に虐待された子供達が教会を相手取って訴訟を起こし、何百億、現在では何千億に膨れ上がった賠償金が支払われることになったのが2002年。教会幹部は子供を性的に利用する神父達の存在を知って居ながら、それを隠し続け、虐待の訴えがあった神父を他の教区に移動させることで、更なる虐待の犠牲者を増やし続けました。犠牲になった子供達の多くが貧しい移民の子供で、特に弱い立場の子供だったこともニュースで報道されています。それを考えてみると、カトリック教会の閉鎖的な状況を糾弾した映画でもあります。
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