ちろる

幸福の黄色いハンカチのちろるのレビュー・感想・評価

幸福の黄色いハンカチ(1977年製作の映画)
4.3
邦画界においてこのロードムービーに勝るものはない。と、どっかのおっさんがいつぞやに豪語してたけど、改めて観てみれば、その言葉に異論はない。
寂れた看板の田舎町、私鉄の走る線路、ボロボロMAZDAのファミリア。
昭和という時代にしか出せないこの風情は今の時代につくるロードムービーには絶対に無理だろう。
不器用で無口な男(高倉健)と、ひたすら待つ女(倍賞千恵子)この2人がスクリーンに置かれれば、昭和の邦画ファンはそれだけで日本人ならではの哀愁のあるラスとを期待しちゃう。
実際は日本にも無口な男とひたすら待つ女よりも、わちゃわちゃしててなにかとうるさい男(武田鉄矢)と奔放でわがままな女(桃井かおり)の方が圧倒的に多いのだけど、その実と虚の対比をほんとに上手いこと見せて、日本人が求める男女の美しいカタチに学び、涙をながす。

カタルシス感じずにはいられない美しいラストシーンは、もう映画史に残る名シーンといっても過言ではない。
ちょい役の渥美清さん含めてもキャスティングも見事で、彼ら以外だったらこんな名作にはならなかったでしょう。
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