アニマル泉

生活の設計のアニマル泉のレビュー・感想・評価

生活の設計(1933年製作の映画)
5.0
20150509シネマヴェーラ
冒頭から一切セリフがなくやっとセリフが出るまで、しかも出たセリフがフランス語という出だしはまさに至芸!サイレント映画世代ならではの見事な演出に息を呑む。本作は、2人の男が女に振り回される、これぞスクリューボールの白眉。ホプキンスが真ん中でマーチとクーパーが3人で並んで歩く、座る、なんと至福に満ちた瞬間だろう。とにかくホプキンスが絶品。仰け反りながら倒れる、その倒れっぷりに痺れる。ソファーがいつでもベッドになりかねない如何わしさ、タイプライターがチンと鳴る音ひとつでキスシーンに誘ういやらしさ、もう追随を許さぬルビッチの独断場だ。誰かが知らない、そのスリルで絶妙に引っ張っていくルビッチの演出術にも脱帽する。三人の生活が終わってから、ロンドンのマーチを追い、さらにアメリカではホプキンスを追って、他の2人は描かないで想像させる絶妙の話術!何でもかんでも描いて説明してしまう凡百の監督達に猛省を促す。


再見 2020.12.27 シネマヴェーラ
物語の語り口が見事だ。ポイントはホプキンスが誰と寝るか? さあ、で次にとばす。
どうなったかは想像させて反対に物語の軸を移す。絶妙である。
タイプライターのチンが効いている。
ホプキンスがベッドへのけ反るのが実に素晴らしい。
屋根裏部屋の窓が印象的。
エドワード・E・ホートンの屋敷にクーパーとマーチが乗り込む場面、乱闘を見せないのが上手い。歌が響くなか、ホートンが大慌てで階段をかけあがるのが可笑しい。
タイトルはマーチ、クーパー、ミリアムの順番。
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