あおや

シンデレラマンのあおやのレビュー・感想・評価

シンデレラマン(2005年製作の映画)
3.9
ときは大恐慌只中のアメリカ。一度は注目されるも度重なる怪我と運に見放され引退したボクサーのジェームズ・J・プラドックが紆余曲折を経て再びリングへと帰還を果たし、圧倒的不利といわれた王者ベアとの戦いを制してヘビー級王座にまで登りつめる奇跡のような実話を基にして描いた“シンデレラストーリー”。

前半部では、大恐慌の中でお金を稼ぐことが、家族を養っていくことが、どれだけ困難であるのかが節々から痛いほど伝わる。大恐慌という困難な状況下の中で繰り広げられる家族の人間ドラマにこそ本作の魅力は詰まっているのだ。プライドを捨てて必死に金をかき集めるプラドック。複雑な気持ちを抱きながらも最後は激励して夫を送り出すメイ。地下でこっそりとラジオを聞き父親の試合を応援する子供達。もう所々で涙なしでは見られない場面がたくさんある。
前半部で苦しみを見せられている分、“シンデレラマン”の文字通りのシンデレラストーリーには胸が震えるほどの興奮を覚える。また、脇を固めるセコンド役のポール・ジアマッティやベア役のクレイグ・ビアーコも存在感ある演技で作品を彩っていた。
強いていえば、ボクサー達の肉体はもう少し仕上げられていて欲しかったが、実際のところあんなものなのかな?

ボクシング映画といえばやはり『ロッキー』が出てくるわけだが、本作も負けず劣らずの感動作。ロン・ハワード監督の熱い作品には今後も注目していきたい。
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