Angeprunelle

アニマル・キングダムのAngeprunelleのネタバレレビュー・内容・結末

アニマル・キングダム(2010年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

クレイジーの中に居てクレイジーになりきれない苦悩ってのは
分からなくもない。
というより強烈に分かる気がする。
漠然とクレイジーになった方が楽なんだろうなと思いつつ
自分は絶対こうはなりたくないっていう
譲れない何かが脳裏で必死に戦ってる。

それでもそこはクレイジーの中。
タバコのヤニのように静かにそしてゆっくりと
それは彼の身体に染み付いて
気付いた時にはもう遅い。

あれだけ臭いという警告があったのに
何度も離れるチャンスをくれたのに・・・

クレイジーな現実に苦しんだ日々。
現実は変わることがないんだと悟った日。
感情を押し殺すのが上手くなる日々。
表情を失った日。
無関心で鈍感になってゆく日々。
現実に慣れ過ぎた日。
それでも感情ってのは奥の奥にちゃんとあって・・・
綺麗な心が彼を苦しめる。

けれど彼は既に汚染されていた。
いつの間にか汚染されてた脳内では
正しい判断を下すのは難しい・・・

ヤニで真っ黒に染まった壁も真っ白に見える脳内では
何が正常かとかどれが本物かなんて判断がつかないのも当然。

その結果がこれ。

最期の一撃を放つのは
実は自分より美しく優しい心を持っていた人間かもしれない。

“若さは弱さだ”

“弱いものを守るが強者だ”

気付けないよね、本当に・・・
後になって気付く。

刑事巡査部長のレッキーさんの無念さ。

環境はただの言い訳なのかもしれない。
世間でもこの言葉はよく聞かれる。

でもその一言で片付けられない程
環境って強烈なんだと思う。

だからこそ我々は色々な意味で
環境を整える努力を怠ってはならないんだろうな。
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