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午後の五時のRIOのレビュー・感想・評価

午後の五時(2003年製作の映画)
3.9

トンネルを通り光から光へと向かう
柱を軸に動いていくショット
青い服の2人の女性が大地を歩いて消える
空と大地が 8 : 2 くらいの割合で撮られている素晴らしい映像が続く

食べ物がなくてあるのは爆撃と地雷
タリバンがアフガニスタンを再び掌握して学校にやっと通えるようになったのにそれも叶わなくなっている現状

作中で少女たちが女性の押しやられている立場について激論している熱量
自分のことは自分が決めるべきなんだと主張する姿は迫力大

家を乗っ取られて廃屋となった宮殿に住み始めたノクレの家族
ベルトルッチ的な風景でした
誰もいない石畳に響き渡るノクレのヒールの音
世の中の音や景色を知る靴

あえてブルカを掛けた写真の裏に書かれたロルカ「午後の五時」の詩
アンダルシア生まれのロルカの詩をある意味「革命」「生死」という象徴的なモチーフで引用したのかもしれない

ノクレの家族は真のイスラームの街へ行く
哀しく開かれた不毛の地を前に細くなっていく命にあまりにも無力だった
神のいない街であったとしても残るべきだったのか
自由というベールの影に先が見えなくなっていた


映画上映後アフガニスタンの伝承音楽を演奏するという企画
「ちゃるぱーさ」ユニットの佐藤圭一さんが2003年の撮影された頃より更に現地の今は酷くなっていること
トゥンバック奏者のやぎちさとさんがアフガニスタンの人々はみんな詩がとても好きなんだと伝えてくれた

やぎちさとさんが映画の内容を引きずって1曲目が重めの曲になってしまったと言ってましたがこれはとても響く
神 あなたへの渇望は私の癒しである という詩の曲
「Aye Padashah Khoban」アーマド・ザヒール

トゥンバック: 太鼓がブワンッと体を掬うような絶妙な振動
「カバールのメロディ」のラバーブ:佐藤圭一の演奏が良かった
「葦笛の歌」ラスト渇いた大地の響きが伝わってくるようだった

*イスラーム映画祭*面白い1日でした
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