サスペンスドラマを逸脱するホラー展開に、否が応でも答えを知りたくなる。
そして知ってしまうと今度はすべてを信じられなくなる。
客観的な物語なのか、それとも誰其れの幻影なのか。
真っ当に考えれば現実の出来事なのだけれど、そこで引っ掛かるのは頻発するわざとらしさ。
登場人物たちの殊更な振る舞いは違和感でしかないため、故にこれは誰其れが猜疑の目で見た景色なのではないかと。
そうでなければ住人たちの言動は余りにもあからさま過ぎる。
そして娘の塩対応や悪意。
これは"答え"がその程度では説明がつかない。
故にラストのカットでは「なるほど!」と納得。むしろこれ以外ないと思うほど。
だというのに別バージョンのエンディングもあるのだとか。果たしてそれは納得のいく結末なのだろうか。今はそのことが気になって仕方がない。
※※※ネタバレ?※※※
好みのまま勝手に解釈すると面白い点が二つ。
言ってみれば、ニーチェの「深淵を~」と、"蛙の子は蛙"
大勢の凶悪犯と面談したロバート・K・レスラーの著書『FBI心理分析官』冒頭にニーチェの「深淵を覗く時~」が引用されている。
"ロバート"つながりは偶然として、今作のデニーロは差し詰めミイラとなった心理学者か。
そしてラストのカットでその気質が脈々と受け継がれていく様を想像するに、存在しない続編の妄想を楽しんでしまう。
ダコタ・ファニングが若いうちに「大人になったエミリー」って続編は無理かな。