バグパイプが奏でるアメイジング・グレイスの調べがいつまでも頭に残る。キリスト教徒ではないけれど、この歌は誰の心にもとまる歌だ。その理由は単にメロディーの美しさだけではなかった。主人公が再度戦いに挑む時に、それを励ます牧師のことばが胸に焼きついた。人は個人でも集団でも愚かなことばかりしてしまうけれど、一つの歌の背後にこんなにも正義に溢れたストーリーがあったことに感涙した。美しいアフリカの名を知られることなく散っていった数えきれない魂たちが、奴隷制のない現代を見て、少しでも、僅かでも報われ、アメイジング・グレイスの調べとともに安らかに眠れることを願った。アメイジング・グレイスを聴く度に、彼らの歴史を想う人が増えることも。
