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モード家の一夜のbennoのレビュー・感想・評価

モード家の一夜(1968年製作の映画)
4.5
この物語は一人称で語られます。

クリスマス間近のある日曜日…タイヤ会社の技師である"私"は14年ぶりに再会した旧友に誘われるままにモード家を訪れます。モードは離婚経験のある美しく知的な女医。旧友は"私"を残して帰り、"私"とモードの2人きりに…ただ、"私"には、意中に気になる女性がいたのです。

"私"と旧友、そしてモードの、哲学的であったり、人生観や宗教観を交えた会話がとても興味を引きます。
数学の確率論やパスカルの"賭け"の引用…小難しいことは知らなくても、それが逆に滑稽に思えてきます。

そして、敬虔なカトリック教徒である"私"の心の中に女性に対する欲望が見え隠れしているのに、信仰心に縛られて素直になれない様子がじれったくもあり面白おかしいです。

モードは無神論者で自由で妖艶…
意中の彼女フランソワーズは対照的に、敬虔なカトリック教徒で清楚…
2人の女性の間で揺れ動く優柔不断な独身男の"私"…

極めてありふれた構図ではありますが…エンディングで気付かされる人物の関係図の巧みさに感動します。

男にとって、自身がこだわり続けてきた理屈よりも相手の感情を優先した末に出たラストの言葉はお見事!
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