Omizu

秋日和のOmizuのレビュー・感想・評価

秋日和(1960年製作の映画)
3.8
【1960年キネマ旬報ベストテン 第5位】
ようやく小津映画の楽しみ方が分かってきた気がする。小津映画には「喪失と不在」というのが常にある気がする。この作品では原節子演じる秋子の死別した夫がそうだ。常に秋子の夫が影を落とし続ける。

同時にこの作品は今までに見た中で最も喜劇色が強い。男三人組が巻き起こすドタバタという風にもみえる。ただ今の基準でいくと娘と母どっちがいい女かとか下世話な話を繰り返したり勝手に結婚話を進めるなど女性軽視も甚だしいのだがまあそこは時代ということで…

カメラワークなど演出はいつもの小津作品なので特に言うことはないが、いつもラストカットが素晴らしいなということに気がついた。この作品のラストカットは秋子が一人残されたアパートの廊下なのだが、それだけで多くを語るのが凄い。

あと娘役の司葉子さんは原節子の正当後継者という感じでいいんだけど、それ以上に岡田茉莉子がすごい存在感。言ってることは正論極まりないしはっきりした美人で好きにならない方がおかしいくらい。
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