菩薩

秋日和の菩薩のレビュー・感想・評価

秋日和(1960年製作の映画)
4.6
父と娘の物語から、母と娘の物語へ。

原節子改め母・秋子、司葉子改め娘・アヤ子。青春時代の淡い恋心の弔合戦だとばかりに、お節介を焼くいつものおじさん3人集、我こそはと結婚の取りもちに躍起。今となってはマリッジ・ハラスメントだと叫ばれそうだが、それでも出会うべくして出会う運命の相手。

娘が先か、母が先か、互いの幸せを思えども、どちらが先でも寂しさが募る。結婚は今ある家族との別離であり、新しい家族への旅立ちでもある。母娘二人っきりの修学旅行も終わりを迎え、今日から布団は一式。仄暗い室内でほっと胸を撫で下ろしながらも寂寥感を漂わせ、心の中で「これで良し」と呟いて魅せる原節子の横顔が涙をそそる。

しかしそれ以前に、強烈なキャラ立ちを見せる岡田茉莉子。狡猾なおじさん達を相手に、一枚も二枚も上手を行くコメディエンヌっぷりには眼を見張る。けちょんけちょんにされるおじさん達の哀れなことと言ったら…(笑)