映画おじいさん

河のほとりでの映画おじいさんのレビュー・感想・評価

河のほとりで(1962年製作の映画)
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祖母と他人のセックスを目撃したことが、かつてトラウマだった淡島千景。
「今の旦那に(セックスに)目覚めさせられたの?」と聞く元夫・山村聰もすごいが、それに「いいえ。あなたが友人のトモコさん(草笛光子)と再婚したのがきっかけよ。彼女が友人である私を裏切ってしまうくらい(セックスが)よいものならばと思って…」と答えるのもすごい。
その一連の会話が超最高。画面も淡島千景の両眼の超アップだったりするし。

若大将な登場の仕方をしながらも、性欲に耐えかねて池内淳子を獣のように襲ってしまう加山雄三にギャップ萌え。瞬きをまったくしない獣の眼はホンモノ。
それにしてもこの一件を海に潜ってマッパになってうやむやにした星由里子の心境はいかほどのものか想像が難しい。
その際、加山雄三が「海の中にも見えないながらも通りやすい道があって、みんなそこを通るから同じところにたどり着くんだよ」みたいなことをさりげなく言ったけど、なかなか深い言葉だった。

加山雄三の学友、進藤役の小川安三という素晴らしい俳優を本作で認識した。加東大介みたいなルックスでアメリカンコメディに出てくるような自分のことが分かっているデブキャラ。最高。

出オチの牧師夫人・沢村貞子がオルガンで返事するシーンはちょっと長いけどアイディア賞。

終盤、星由里子が「あなたも(オナニー)するのなら、お母さんのこと分かってあげなさいよ」とよくわからない論法で弟を諭していたのは最高。そのちょっとイラッとする弟役の田辺靖雄もベストアクト。

星由里子とのキス、草笛光子との再会での異常な喜び方など、淡島千景がレズであることを匂わす(というか確定)エピソードは原作にもあるのかな。

みんなで顔を合わせて正直に話し合ったから良しとしましょうね!と登場人物全員が自分を偽ってこの後の人生を過ごしていくであろう幕の閉じ方も私好みでした。ちょっとガチャガチャしているけど良作。

*台詞はすべてうる覚え