まっつん

悪魔のいけにえのまっつんのレビュー・感想・評価

悪魔のいけにえ(1974年製作の映画)
4.7
トビーフーパーによる「田舎怖いよ映画」の金字塔です。近所の某レンタルビデオ店に新しく入っていたので見返してみました。

やっぱ最高の一言に尽きるのでは無いでしょうか?古典ならではの強みに満ち溢れていて何回見ても面白いんですよね。特に「田舎映画」としての側面が非常に好きで、日本でも違う地方行ったら方言が凄くて何言ってるか分からない人とかと出くわすことあるでしょう?この「同じ言語を喋ってるはずなのにコミュニケーションが取れていない」感ってのが超怖いですよね。しかもこれどっちが悪いとかの話じゃ無いのが厄介者で、この映画の場合「運悪く足を踏み入れてしまった若者たちが悪い」感がヤバいんですね。ここの不条理性がビンビンに出てるのも大きな魅力で、ホラー映画の定番とされる要素を古典でありながら大きく逸脱しています。そもそもホラー映画というのは道徳的な話が多くて、酷い目に会う人はそれ相応の因果応報によって酷い目に会ってるんですけど、この作品は「近づいただけ」っていうね。それだけでこんな酷い目に会うって運が悪すぎだし、不条理すぎる。しかし、なぜか映画の序盤からなんかもう逃れられない地獄にハマっているような雰囲気すらあるのが不思議なところ。

またどのシーンもパンチラインだらけなのも凄えなと。90分足らずの映画なのに印象に残るシーンがめちゃくちゃ多い。てかほぼ全部笑。個人的にはレザーフェイス初登場がやっぱりヤバいですね。頭を殴られたカークが痙攣してるとことか、その後レザーフェイスがダァァァーン!!!ってドアを閉めるところとか最高すぎる。後半の観客を逆撫でするような執拗な絶叫シーンとか、まぁ全体的に見てやり過ぎてるところがいい感じのバイブスを醸し出してるといえます。この「やり過ぎ」感が強すぎるコメディになるんですけど本作はそこのバランスも絶妙です。まぁ危ないとこは結構ありますけどね笑。ご存知、2作目はコメディへと大きく舵をとるわけです。

さらに独特な美術も完璧と言っていいです。あの家の不穏さが恐怖感を煽りまくりで素晴らしい。とにかく様々な工夫をして刺激的な視覚表現を生みそうとしているのが分かります。そしてその試みは完璧と言っていいぐらいに成功している。

そして映画史に残るラストも「なんか凄いもの観た....」っていう余韻をバッチリ残す余りにも暴力的な名エンディングだと思います。