【レビュー】
《追悼：トビー・フーパー》
映画界にまた悲しい知らせが届きました。
巨匠トビー・フーパー監督の訃報です。
悍ましい建物や風景、狂った一家、巻き込まれた青年たち、アーティスティックな小道具・メイク・衣装、レーザーフェイスのがたいの良さ、じい様の圧倒的存在感、ヒッチハイカーの狂気、直接的な様で実はスカしの技術を巧みに利用したホラー演出、この作品がスプラッターホラーの礎を築いたことで、影響を受けた名作たちが後に数多く誕生した。
そういう意味では元祖だし、全てのスプラッターホラーがこの本家に影響を受け、分家していることは明らかである。
中でもチェーンソーは大発明で、ある意味チェーンソーこそがこの作品の主人公だと言って良い。ラストでレーザーフェイスがチェーンソーを振り回して凡ゆる感情を唸りと共に吐き出すシーンは、チェーンソーの声とレーザーフェイスの感情が一体となって迸る…ホラーは勿論のこと、映画史に深く刻み込まれた名シーンであることは間違い無い！
だからトビー・フーパーが天に召されたことにショックを受けているのなら、今すぐチェーンソーを振り回して嘆き悲しむしかないのだ！！ さあ、今すぐチェーンソーを振り回して監督の御冥福をお祈りしましょう。
世界中でチェーンソーが天に掲げられた異様な日となれば、監督もきっと微笑んでくれることでしょう。
今作も含め、数々の名作、ホラー界における根源や種を蒔いてくれた「トビー・フーパー」監督に、心から御冥福をお祈りします。
【p.s.】
ロメロに続き、フーパーも旅立ってしまいました…
ホラー界の先駆者であり、何世代にも渡って受け継がれるジャンルを開拓し、築き上げてこられたお二人の魂を新しい世代の監督たちが尊敬の念を込めて確と受け継ぎ、益々発展した作品を生み出してくれることを願います。
同ジャンルを扱う時は、どうかいつまでもお二人の精神と魂が残り続けていますように。
【映画情報】
上映時間：84分
1974年 アメリカ🇺🇸／監督・脚本・音楽 トービー・フーパー／脚本 キム・ヘンケル／音楽 ウェイン・ベル／キャスト マリリン・バーンズ／エドウィン・ニール／ガンナー・ハンセン／ジョン・デュガン
／旅行中の若者たちが、テキサスの片田舎でふと立ち寄った一軒屋で出会った殺人鬼一家。実際に起きた事件を基に、これが商業デビューとなったフーパー監督が、アングラ的な中にエキサイティングな演出を見せて観る者を圧倒させる。
