三樹夫

1999年の夏休みの三樹夫のレビュー・感想・評価

1999年の夏休み(1988年製作の映画)
4.0
少年の役を少女が演じるということにより、映画内で行われていることは少年同士のBLだが、観客にとってはGLにもなるという入り組んだ構造をしていて、この倒錯している構造で、入り組んでるがゆえに余計変な気持ちになるという、BLとGLの狭間で揺さぶりをかけてくるのが快感。
登場人物は一応6人だが、役者は少女4人だけしか出てこず、映像も淡い光が降り注ぐような画で、舞台は夏休みだが夏の暑さを感じさせない(登場人物も夏の暑さゆえに汗をかくということをしない)と、完全に異空間が構築されている。異世界という感じでもなくて、異空間というのが適当のように思える。耽美というか出てくるものがすべて綺麗になるという(登場人物の葛藤や嫉妬さえも美しいという)異空間で、そこには入れるのは登場人物のような、少年を演じている少女だけと感じさせる領域ゆえに魅力がある。汗をかかないことで肉体性が排除され、さらに役者の声さえも声優に吹替えさせ肉体性の排除に拍車がかかり、美しいものしか世界には存在しない耽美な作品となっている。

監督は金子修介で、金子修介はガメラ3でも少女映画として撮っていて、ガメラ3では前田愛を中山忍が人口呼吸しているのをガメラがじっと見ているシーンがあったが、今作品でも人工呼吸があって、14番目の標的知識によると気道確保できてなさそうだったが、人工呼吸の最後の一歩踏み込んだのとかたまらん。櫻の園の糸を口で切るシーンもそうだけど、一歩っていうのが大切なんだろうなと再認識。人工呼吸してるから最後のやつなわけで、人工呼吸というクッションが無くてやると三歩四歩とかの踏み込みになっちゃうし、少量だからこそ魅力大みたいな反比例が琴線に触れる。
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