blacknessfall

続・夕陽のガンマン/地獄の決斗のblacknessfallのレビュー・感想・評価

3.5
マカロニ・ウェスタンの金字塔的作品。セルジオ・レオーネの最高傑作とする人も多い本作、おれも好きなんだけど如何せん長尺なんで観る時間が取れなかったり、レオーネ特有のハイパーゆったりテンポがかったるく感じたりでここ10年ぐらいは観てなかった。急遽ヒマになったので観ることに。

やっぱりこの超遅テンポはキツい。マカロニはまったり系が多いけどだいたい上映時間が100分前後だから耐えられるけど、これは3時間だからな。でも、決してつまらなくはない。3人の異なる際立った個性を持つガンマン達の大金を巡り繰り広げられる共闘と裏切りの連続は結末を知っていてもスリリングに感じる。
南北戦争も話に有機的に絡める展開はストーリーテリングの奥深さもある。
話自体はハードでニヒルなんだけど所々に乾いたハードボイルド調のユーモアが入ったり、マヌケなミスしてピンチに陥ったりするので暗くならずコメディ的な楽しさもあるのがいい。
変な表現になるけど緩慢なスピード感なのに軽妙で小気味いい会話や展開がありそのギャップに酩酊させられる笑 こういう感触の映画は他にない気がする。

あと、今回気づいたのはugly担当のイーライ・ウォラックの存在が大きいと思った。イーライがねずみ男のように欲望のまま浅慮に突っ走りヘマを漕いてBAD担当のリー・ヴァン・クリーフやGOOD担当のクリント・イーストウッドに利用されることで話が動いている。その時の様子がおもしろい。調子こいて高笑いした後に騙されて怒り、命が危うとなるとなりふり構わず命乞いする。短絡的だがエネルギッシュで賎しいけど愛嬌をあるから憎めない笑なので、繰り返すがレオーネの超絶ゆったりテンポとやたらと長回し、そして頻発する濃い顔のおっさんのアップにも挫けずに最後まで観れるのだと思った。
それと砂漠に置き去りにされてもイーライもイーストウッドもしっかり街に戻れる方向感覚が凄いと思った。西部の漢には必須条件なのかも。方向音痴のおれとしては2人が羨ましい。

おれはマジで方向音痴なんだ。それでいつも苦労している。先日も何かのレビューで無理矢理その素晴らしさを語った米西岸80sパンクのレジェンドAdolescentsのライブに行った時も迷った。高円寺の駅から徒歩3分のライブハウスなのに、、しかも、数年前に一度行ってんだよ、そこ。周りの風景なんかは記憶あるしすんなり行けると思ってたんだけど、ガッツリ迷った。自分の方向音痴のポテンシャルの高さに戦慄した。
でも、これだけならわざわざレビューにねじ込む必要ないんだけど、いつも苦労させられるこの方向音痴で始めて今回ちょっといい思いができたのでそれを記しておきたくなって。

方向音痴の自覚があるので迷うことを想定して早めにライブハウスのある街に行くことにしてる。今回も会場1時間前に高円寺に到着した。以前行った時の道順で歩いたはずだけどまったく記憶にある建物が発見できず、Googleマップにナビに切り替えた。この時点で15分経ってる。
ここで方向音痴じゃない人はGoogleマップ使えば楽勝だと思うだろうけど、それは甘い。Googleマップナビの🔵にうまく乗れないこともあるし、「東南の方角です」みたいに方角で言われてもわからないから、必ずしもGoogleマップで解決できるわけじゃないんだよ!
でも、この日は無事に🔵に乗れて30メートル先の表示に安堵しながら、ナビどおりに歩いてるのに、ある地点でくると残りの距離が急に増えて、また同じところに戻されてしまう。これを繰り返すこと2回。この時点で会場まで30分。
不安に襲われマップを見てると「AdolescentsのTシャツすね、ライブですよね?僕も行くんですよ」と声をかけてくる人がいた。見るとスケートボード持ってるヤンチャ系の40ぐらいの男性だった。これで助かったと確信した。見るからにストリート系で高円寺ネイティブみある佇まいだったから。安心しきって「実は迷ってまして」と言うと「マジすか、僕もなんですよー😅」とまさかの返事が🙀一気に地獄に落とされた、、聞くと彼のマップもおれと同じことになっていて、周辺を彷徨ってるところでおれを見つけた。そんなことを話していると彼がこっちに向かって歩いてくる中年カップルに元気よく挨拶をした。
この中年カップルはご夫婦で彼と同じスケートボード・チームのメンバーとのこと。このご夫婦のお二人はおれより年上で男の人は地下格闘技選手的な威喝さとワルのオーラが出まくりのパンクシーンではよくいるパイセンみがあるし、2人で優雅に歩いてきたから当然ライブハウスの場所を把握してると確信し、再び希望を胸に迷ってると伝えると「そうなんだ。俺らも分からなくずっとウロウロしてんだよね😅」と実に優雅に返してくれた。えええぇぇーーと心で絶叫した😫
そんなことあんのかよって思った。長年ライブ行ってるであろう人間が3人とも知らないなんておかしいだろ!?何なんだよコイツら💢と自分のことを完全に棚上げした理不尽な怒りが湧いてきた。

ショックと(身勝手な)怒りで二の句が継げないでいると地下格の人が「さっきそこのスーパー?の階段にAdolescentsのボーカルのトニーが座ってたよ」とその時の様子を奥様と話しだした。
詳しく聞くと見ただけで声かけて確認したわけじゃない。正直、ないな、と思った。そもそもライブハウスも把握できないヤツがメンバーを確認できないんでは?とまたしても自分を棚上げして不信感を持った。そんな思案をしていると最初に遭遇したスケボーの彼が確かめようって言うから、会場時間まで20分切ってるのにそのスーパーの階段に行くことにした。20分ぐらい前だって言うし仮に本当に座ってたとて、もう居ねぇだろとゲンナリしつつその場所に行くと、思いっ切りどう見ても、ボーカルのトニーが座ってた!!
近づき話しかける前におれが着てたAdolescentsTシャツを見てニッコリしてくれた。
その後、たどたどしい英語で話して2ショット写真をお願いした。トニーは快くOKしてくれ、全員と撮ってくれた📸。
ライブハウスの中や終演後に話したりとかはあるけど、開演前の道端でアーティストと遭遇したのは始めてだからとっても興奮した。ドラマチックな流れだしいい思い出になった。
本当に生まれて初めて呪でしかなかった方向音痴に感謝した🥹

ライブハウス?会場10分前に何とか着けたよ。そして方向音痴仲間のスケーターの方のスケートボード・チームの皆様にも紹介してもらい、ライブ中の転換の時間仲良く話して貰えた。
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