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ギルダのotomisanのレビュー・感想・評価

ギルダ(1946年製作の映画)
3.9
 捜査二課は殺しなんぞじゃ騒がない、挙げるのは自由世界への反逆。というわけで、タングステン・カルテルを潰してしまえばあとは野となれ。イカサマ師上がりのジョニーにも謎のヴェールに包まれたギルダにも用はない。まして、一課の連中に手柄を呉れる事なぞ思いもしない。
 ところが、その夜の刑事はカルテル潰滅の手柄に口が軽くなったらしい。ジョニーに向かってギルダのヴェールを取り除いてくれる。サツの旦那のいう事の信用はさて置き、傍の者は鵜吞みにするほかない。

 ジョニーとマンスン、男ふたりの運命の女と思っていたのに、ヴェールを取られてしまいギルダも随分と軽いあしらいで拍子抜けだ。当の男二人もどう差し違えるのかと思い続けてきたのが、彼らの運命を担ったのは理髪のピオ親父とあって、こりゃどうだろう。
 そういえば、夜明けの賭場でギルダのギターで差し向いの親父が賭場の精かなんかのようで、なにかあるとは思っていたのだ。マンスンを止めるのにあの一突きはやはり只者ではなかったようだ。お蔭でドラマは台無しなんだが、ジョーカー・ピオの働きに口を差し挟んでは長生きできまい。
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