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恋の手ほどきのとぽとぽのレビュー・感想・評価

恋の手ほどき(1958年製作の映画)
3.0
"退屈" --- ヤンチャ勝気な感じの主人公ジジがもっと恋とか男とか世俗的な幸せ像その価値観に抗うのかと期待したら、思ったよりすぐ飼いならされるようにそっち側になって、いわゆる幸せやら恋自体やらをスッと受け入れるのは映画的障壁=盛り上がりが無かったけど、相手役ガストンが何かある度そいちいち一度はジジから離れ出ていくも、自身の中で葛藤し己の気持ちと向き合っては気づいて、やはり彼女の元に戻っていくのが良かった。…ということで実際に見た印象で言うと本作の主人公はジジよりもガストン!総じて"古き良き"当時の時代らしい今やホコリをかぶった価値観満載で、安牌な枠組みにハマった昔らしい華やかなハリウッド映画という感じだった。本作のジジのようにヤンチャ男勝りな女性像を打ち立ててはみても結局のところ男に従順であってほしい、家庭に入るべきみたいな当時の様子が垣間見えるクォーテーションマーク付きの"ハッピーエンド"。言ってるだけ口だけ主人公ジジ。
昨日は?恋。今日は?恋。明日は?恋。つまらない。パリの人はいつも恋のことしか頭にない花戦争。無作法ヤンチャな少女が淑女として社交界の噂に花咲き気取ったレディーに大変身するも、やはり出自は隠せないし、間違った教育は逆効果だと教えてくれる作品。冒頭から変態ジジイ(?)と思ったら主人公の側の先生ポジションにもいて、ブイブイ言わせたプレイボーイ・ガールとしてメイン二人を指南する。

彼女は子供!彼女は赤ん坊!変わり者のイタズラ娘。プレイボーイと生娘。世間の目、レッテルに、飲み物はカモミールティー。恋(すること)のいい面も悪い面も。好きだったのに誤ったしつけの結果逆に、本来お似合いの二人が無理して背伸びしたせいで……そういう堅苦しく形式張ったのが嫌いだったから主人に惹かれたのに逆効果的な展開を期待していたら少し違っていた。そりゃドレス着てキレイに着飾っていたらトキメキもするか。異性として見ていなかったのに思いがけずドキッとする瞬間に自分の気持ちに気づく。なにはともあれ時代を感じる価値観。ガストンと恋するのは今日に置き換えるなら有名人セレブとスキャンダルになるようなものなのか(ex.『ノッティングヒルの恋人』)。
ヴィンセント・ミネリ監督のフィルモグラフィーにおいてベストな作品でないにも関わらずなぜかアカデミー賞大量受賞、アメリカ国立フィルム登録簿永久保存登録。花の都パリを舞台に色とりどりカラフルなロマコメ・ミュージカルがハリウッド黄金時代の輝きを垣間見せてくれるよう。

勝手に関連作『マイ・フェア・レディ』『パリの恋人』『巴里のアメリカ人』
朝活映画!というより不眠症気味装丁朝方映画
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