みおこし

恋の手ほどきのみおこしのレビュー・感想・評価

恋の手ほどき(1958年製作の映画)
3.6
アカデミー作品賞を観よう第12弾!あと10本、気合い入れて観ようと思います。今回はMGMミュージカル黄金期の最後の作品と言われる、ヴィンセント・ミネリ監督の名作。1958年度オスカー作品賞。

舞台は1900年のパリ。富豪のガストン(美女と野獣ではありません笑)は、なかなか運命の女性に出会えず、日々女性たちと遊んではいるものの結局なかなか続かない。昔から彼が可愛がっている中流階級の娘ジジは、おてんば娘だがそんなガストンにとって心の拠り所となっている。一方ジジは花嫁修行のため、淑女としての厳しい礼儀作法を学んでいるが...。

とにかく舞台や衣装が豪華絢爛の極み!本当のパリでのロケをしたとのことですが、調度品の1つ1つの美しさに目を奪われます。音楽もちょっとフランス語訛りに歌う感じが、他のミュージカルと一線を画していてまた魅力的。
モーリス・シュバリエはとても有名なフランスのスターですが、『おしゃれキャット』の主題歌以外であまり彼の歌を耳にしたことがなかったので、こんなに素敵な方なのかとびっくり!いかにもフランス人らしい、高貴な印象のジェントルマン。
こんなに素敵な初老のおじいさまいらっしゃらないよ...!!

最近『リリー』を観て素敵な女優さんだな〜と思い始めた主演のレスリー・キャロン。『リリー』や『巴里のアメリカ人』の時のような物憂げでおとなしい女の子の印象は今回はなくて、とにかく元気なおてんば娘ジジ役がまた可愛らしかったです。
当時20代後半だったようですが、どう見ても少女にしか見えない若々しさ。衣装もすごく似合っていて、色んな作品で見せる七変化っぷりにまたファンになりました。しかも本作ではダンスも歌も封印してるんですね...!タイトルロールなのに全然歌わない!!斬新です。

ガストンは女遊びに明け暮れることで、自らの結婚から逃げ続けていますが、その運命の相手が意外と近くにいることに気づいていない。
ジジも同じく、花嫁修行を叩き込まれるものの実際恋愛に焦っているわけではなく!むしろ恋愛って何?とむしろ開き直っている状態(笑)。
このすれ違いの感じは、今となってはありがちなストーリーだけど、それでも名作は色褪せません。軽妙洒脱な脚本がまたオシャレ。たまにガストンがツンデレ発揮しすぎる時があったり、ジジが泣くタイミングが理解できない時があったけど(笑)。
そして、女性にとってお金持ちと結婚すること=美徳、というややステレオタイプな展開は違和感を覚える人もいるかも...。

作品賞受賞作と言われると、若干地味だしテンポも遅め...なんですが、いつの時代にも普遍的なラブコメ要素と、とにかく華麗な作品の雰囲気に心奪われること間違いなし。ポスタービジュアルもオシャレで可愛い!!素敵な作品でした。
もう少しミュージカルシーンが多かったらもっともっとハマれたかもしれない!!
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