mimitakoyaki

チャーミング・ガールのmimitakoyakiのレビュー・感想・評価

チャーミング・ガール(2005年製作の映画)
3.9
ファン・ジョンミンを愛でる会をひとりで開催しようと思い、なんの情報もなしに見ました。
ファン・ジョンミン、出番少なーい!
でもその中で人柄とかちゃんと伝わってくるんですよね。

そもそも「チャーミング・ガール」というタイトルから、ラブコメかなーと勝手に思って見始めると、おや、何か違う。
地味だ、暗いぞ…。
でも、こういう淡々と人物と日常を映しながら、主人公の心をセリフ以外でもしっかりと表現する作品は好きで、一体この面白くもない覇気のない生活がどうなっていくのか、この主人公が何を考えてるのか、どういう人物なのか、すごく気になって目が離せなかったです。

主人公チョンへは古い家に一人暮らしをし郵便局で働いている女性。
職場の同僚とも一線引いたような付き合いをし、表情もあまりなく、自分の感情や意思を表に出さないタイプです。

家の近所で子猫を見かけたことがきっかけで、ペットショップで買ってきた子猫との暮らしが始まりますが、餌も食べずに懐かなかった子猫との距離が近づいてくると、チョンへの心も少しずつ変化していきます。

大好きだった母親とのこと、過去の拭い去れない深い傷…
毎日眠れず、人とも距離を置きながら、地味に淡々とルーティンのような生活をする事で必死で自分を保とうとしてるんだとわかってきました。

抑揚もないしセリフも少ないですが、手持ちカメラの揺れる映像はそのまま彼女の心の寄る辺なさ、不安定さを表しているようにも思うし、絶妙な間や表情から伝わってくるものもあって、ひとりの女性の孤独と哀しみ、そしてそこに少しずつ向き合っていく過程を丹念に描いていると思いました。

最後のシーンもどう捉えれば良いかあれこれと考えさせられます。
不思議な余韻を残す作品でした。

主人公チョンへを演じたキム・ジスは、もしこの作品を日本でリメイクするとしたら木村多江のような薄幸さがピッタリな感じの、地味でどこにでもいそうな女性でしたが、特典映像の記者会見の映像は、まるで別人で、すごい華のある綺麗な女優さんだったので驚きました。
メイクや髪型を変えてるのは大きいですが、チョンへになりきることであそこまで別人になれるものかと思いました。

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