シズヲ

子連れ狼 死に風に向う乳母車のシズヲのレビュー・感想・評価

4.4
三隅監督の演出が冴えるシリーズ3作目。全編に渡ってブチ切れたテンションだった前作「三途の川の乳母車」と比べると大人しくなってるけど、それでも巧みな映像のおかげで見事な完成度に収まっている。静寂、溜め、カメラワーク等による「緊張感」の作り方がとことん上手い。冒頭の竹林でのシークエンスからして絵面の美しさが映えているし、映像が生み出す空気にグイグイ引き込まれる。同監督が撮った「座頭市」にも通ずる技巧が遺憾無く発揮されているんだよね。

今作はストーリーも味を増していて好き。主役の拝一刀を始め、三浦帯刀、孫村官兵衛といった物語の中核を担う面々が等しく「武家社会からの排斥に遭った者」なのが面白い。それを踏まえた上での終盤の一騎討ち、そして「真の武士道とは何か」という問いに繋がる流れが秀逸。物語のみならず、アクションシーンも相変わらず楽しい。途中までは少し控え目ではあるものの、終盤にはしっかり血みどろの大暴れを披露してくれる。乳母車のマカロニじみたトンチキ兵器っぷりもやっぱり必見だ。あと、大五郎の子役の演技が更に上手くなってて凄い。何処か達観したような険しい表情は子供ながら渋い。
シズヲ

シズヲ