lemmon

ずっとあなたを愛してるのlemmonのレビュー・感想・評価

ずっとあなたを愛してる(2008年製作の映画)
4.9
映画館で観て以来。
10年くらいぶり。


冒頭からタバコを吹かして何か諦めたかのような地味な女が映る。

彼女に何があった?

割と早い段階でそれが判明し、そこから「なぜ彼女はあんなことをしてしまったのか?」というある種ミステリーのような部分が顔を出し、最後まで引き付けられる。ただ、それ以上にヒロインの生きる姿に引き付けられて、目が離せない。


人それぞれ何かをしてしまった時の罪の重さの感じ方が異なる。そこまでおいつめなくても良いのに…と思おうが、本人に自責の念がある限りは、他人ではどうしようもできない。
他人がどれだけ助けてあげようと思おうが、その罪に対して、本人が納得するまで償うには、話を聞いてあげることはできても、解決することなんてできないのだ。


この映画のヒロインは真正面から自身と向き合い、それゆえに他人の評価にもビクともしない。妹の旦那に軽蔑されようが、仕事が見つかなかろうが、それを当然のことのように納得して、ある一つの大切な事への償いをとことん探求しているかのように思えた。それを立派とは言いたくないが、「死」ではなく「生」での償いを選でいる。それにジーンとくる。

この一歩間違えれば自己陶酔にもとらえられてしまいそうな難しい役どころを見事に演じているクリスティンスコットトーマスがすばらしいのなんの!自分の中ではトーマスのベスト。


すべてが納得のいくところではないし、見終わった今でも想いは尽きない。愛する者への自責の念以上に、この映画のヒロインは、ずっと忘れず愛し続けたいがために生きていくことを選んだのではないかと。

いいではないか。本人の人生。
15年の時間。
何が大切か。
堅物だったヒロインが徐々に変わっていく様。
クライマックスのセリフ。
たまらない。忘れない。
lemmon

lemmon