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江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間のblacknessfallのレビュー・感想・評価

4.6
まず、よーやく上映会とか行かなくても手軽にこれが観れるようになってよかったよね😀

邦画て枠を外しても悪趣味を極めたて意味では空前絶後な映画だと思う。同時代で言うとパゾリーニのソドムの市にも負けてないよ笑

石井輝男監督の最高傑作だとか監督の即物的エロ・グロセンスと乱歩の蠱惑的な倒錯性と猟奇感のマッチングの良さとか。暗黒舞踏の大家、土方巽の大怪演や伝説的なラストの「お母ーさーーん」の底力抜けしたおもしろさ。
この辺は記憶どおりだし、語り尽くされてるからレヴューあげなくてもいいかと思ったけど、再見して気づいてしまい、発見したことがあったので書いておこうかと笑

異常・残酷・虐待物語 元禄女系図に続き小池朝雄a.k.a.コロンボが今作でもサディスティックな変態を演じてる。今回は女装して(ミッツ・マングローグ似)女の子をドスで小突き回してエクスタシーに浸たる捻りのきいたサディスト笑 「あたな、素敵ね♥️オホホホ~」て女笑いしながら。小池朝雄、基本的に女装が似合う顔じゃないからこれがとてつもなくキモい。熱演して仕ぐさも声も女っぽくしてるのが余計にキモい。そして、がんばって出した女声もやっぱりどう聞いてもコロンボ・ボイスなんでシュールですらあるんだよな。キモ・シュール、、笑
小池朝雄は何故?石井輝男監督の映画だと血生臭い変態役が多いのか気になる。でも、二人とも亡くなってるから永遠に謎だな笑

奇形人間達がいる島に行くまでがすごい退屈な記憶だったんだけど、そんなことはなくしっかり伏線を張ってるし、謎の提示もうまい。それに視覚的なおもしろさもしっかり盛り込んでる。
由利徹と大泉滉の東映二大コメディーリリーフのコミカルな絡みもある。
昔は後半の印象が強すぎて前半のいいとこが全部飛んじゃってたんだと思った。
DVDで家でまったりして観れたからこそ気づくことができたと思う。ソフト化のありがたさよ笑

映画の構造。これがちょっとラス・メイヤーの映画に似てる。
物語の終盤に無理矢理、そして唐突にメロ・ドラマ的演出と通俗的なモラルをオチに持ってきて、それを「単なる見世物根性で作ったエログロ悪趣味映画じゃございません。」ってエクスキューズにしてくる展開はラス・メイヤーのワイルド・パーティーとまったく同じなんだよな笑
ラス・メイヤーと同じと言えば必然性もなくバンバンおっぱいが出てくるとこも笑

で、最後。ストーリーがトッド・ブラウニングのフリークスと同じ。
どっちも金目当てでフリークに近づいてきた美女に気持ちを踏みにじられ復讐する。
奇形人間は復讐が過剰すぎるのと土方巽さんがフリークと言うより魔物にしか見えないから被害者性が霞む。なので復讐譚て側面に意識がいってなくて今までフリークスとの共通性に気づかなかったよ。どっちも好きな映画なのに笑

まあ、とにかくド級のカルト映画は観る度に新たな発見があるってことっす😀
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