チッコーネ

悲愁物語のチッコーネのレビュー・感想・評価

悲愁物語(1977年製作の映画)
4.2
梶原一騎が原作で、設定は一応、スポ根と名声の物語だが、コメディ演出が効きすぎでシュールに観える。特に江波杏子の怪演ぶりは、素晴らしくエキセントリック!彼女ひとりが暴走しているうちは笑って観れるのだが、集団を巻き込むようになると、ゾッとするほど不快だ。この告発力はすごい。また女性たちの対極に置かれ、すべてをハッタリでコントロールしようとする原田芳雄は、恐ろしくセクシー。
結末はやや強引だが、デティールに凝りすぎるあまり、ヒロインの弟の性格描写がいまひとつなせいだろうか。或いは大和屋竺の情緒的な混乱ゆえだろうか。
いずれにせよ、稀に見る変な映画で、大いに刺激的。実験的なカットも少なからず挿入されている。