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別離のpikaのレビュー・感想・評価

別離(2011年製作の映画)
4.5
初ファルハディ。
オープニングのカメラ目線でこちらを見据えて訴えかける登場人物にグッと心を掴まれ、それから畳み掛けられるすれ違いのキャッチボールが辛くて苦しくて見てられなくて、前半は何度も一時停止を押して深呼吸してから再生というのを繰り返した。
見知らぬ国の虚構のドラマだけど世界のどこにでもありえるような人々とストーリーなので、全く同じでなくても日々選択を繰り返し人と摩擦して生きていく限り、映画の中だけの他人事じゃない。

相手の気持ちはわかるけど自分にだって都合があるし、っていう微妙な行き違いとか、あなたのためなのよ!なんでわかってくれないの!とか、エゴなんだけど全人類が共感できるレベルの普遍さだし、全然誰も悪くない、誰が彼らを責められようか!ってなくらい全員の気持ちが痛いほど伝わる。
この映画のキャラクター達もイライラしてたり誰かのせいにしてるけど、本当はそうじゃないってことをわかってるから苦しんでる。

子供に対して「お前の気持ちを尊重する」という姿勢だけど、親の選択を子供に責任負わせてるってことじゃんか、というのを子供目線で丁寧に表現するから泣けてくる。
渦中に放り込まれて日常に起こりうるリアリズムを突きつけられる前半からは打って変わって、後半からは映画の醍醐味とも言える劇的さで収束していくストーリーの面白さに唸りまくり!
終わり方が秀逸過ぎて素晴らしいし、息苦しくて仕方ないのに映画として見応えがありすぎて面白くてたまらない。
めちゃくちゃ面白かった!
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