踊る猫

別離の踊る猫のレビュー・感想・評価

別離(2011年製作の映画)
4.6
この監督特有の前半のネタの仕込み段階での長ったらしさをさほど感じさせず、後半から怒涛の訴訟沙汰やミステリ的な展開に持って行くあたりはなかなか他の映画にはないな……と思ってこの点数にした。社会問題を告発しているという意味では例えばケン・ローチやダルデンヌ兄弟を想起させられたのだけれど、この監督はもう少し人間に対して温かい視点を用意しているらしい。つまり、泥仕合になって訴訟沙汰は終わるのだけれどさほど絶望は感じさせないのだ。このあたり監督が人間の善意というものに着目し、善意の空回りで歯車が狂うということを踏まえた上でのことなのではないかと思われる。前半の長ったらしさに目を瞑れば、心理劇としてなかなか良いところに達しているのではないだろうか。あと、光るショットがもう少しあればと惜しく感じたこともまた確か。
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