ぬーたん

別離のぬーたんのレビュー・感想・評価

別離(2011年製作の映画)
4.3
『彼女が消えた浜辺』に魅せられて、ファルハディおかわり!
賞もたくさん獲っている今作だけど、何となく暗い感じがして観てなかった。
前作に良く似た作り。
2つの家族に起こる事件。
昨日観たばかりだから、すぐに気が付く、同じ俳優が出てるわ。
海に飛び込んだお父さんが今作では、主人公のナデル。
あのイケメンのアーマドが今作ではキレ易いやっかいな旦那、ホッジャト。
先生役も観た人だし。
ナデルの妻シミンをレイラ・ハタミ。
美しく強い女性。
ラジエーをサレー・バヤト。ホッジャトの妻。
悲し気で信心深い。
それぞれの娘1人。
ナダルの娘テルメはサリナ・ファルハディ。
苗字からして監督の娘かな?
メガネをかけていて地味な娘。
じっと堪える感じが観ていて辛い。
自己主張の強い人たち。
正当化したり嘘を付いたり。
自己を曲げないし妥協もしない。
押したり殴ったり、叫んで泣いて。
前作同様の修羅場出現!
殆どが密室の群像劇で、喋りまくるし、やっぱり苦手なタイプの作風なのに、またしても、それからそれから?と身を乗り出し、全く飽きない2時間。
マジックにかかったかのよう。
『ファルマジック』と命名しちゃう!
手持ち風のカメラだが手ブレもなく観やすい。
カットが、そこで切るんだ、という上手さ。
表情の映し方や間、何だかとてもジーンとさせられる。
なんということのない日常から巻き起こる、誰にでも起こりそうなことが、膨れ上がり、家族を飲み込んでいく。
その先のドラマの行き先を見届けたくて、まるでサスペンスのように。
激しい展開でもないが、決してハッピーでもなく、波が静かに収まるがごとく、終焉に向かう。
またしてもラストがいい。
『彼女が消えた浜辺』がさっと切ったラストに対し、今作のずっと見せていくラストが、気持ちを表しているかのよう。
家族の愛と崩壊と、未来。
この先を想像して、やっぱり余韻たっぷり。
浜辺の後で、衝撃度ではやや負けたかな。
おかわり、3杯目。行こうかな!
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