スガシュウヘイ

別離のスガシュウヘイのレビュー・感想・評価

別離(2011年製作の映画)
4.5
衝撃的なおもしろさで、初見から殿堂入り確定していた本作。
前回は、打ちのめされてうまくレビューを書けなかったが、今改めて書いてみる。

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本作は5人の視点がそれぞれ交錯する形で描かれているのに、渋滞せず、見やすい展開になっている所が素晴らしい。

父の視点→「介護」
母の視点→「教育」
娘の視点→「親の離婚」
相手の父の視点→「貧困」
相手の母の視点→「宗教」

それぞれが抱える問題が、裁判を通して浮き彫りになる。

彼らは皆、追い詰めらている。彼らの激しい口論から、ひしひしとそれが伝わってくる。
観客は、どちらの立場を応援すればいいのかわからず、心をグラグラ揺すられる。


11歳の娘だけは、唯一、冷静なように見えた。親に離婚して欲しくないということを純に願う少女。

「本当に知らなかった?」
父親の偽証を疑う、彼女の視線が突き刺さる。


事件について次々と浮上する新事実もスリリングだが、5人の人生ドラマも同様にスリリングだ。

縦横に揺さぶられまくる。


果たして、娘の決断は?

はりつめた緊張感を持続させたまま、エンドロールに突入し、余韻どころか、本編並みのドキドキを保ったまま終局する本作。
本作はたぶん、マイベスト・エンドロール。


改めてやはり、すごい。
これは間違いなく、傑作。


公開:2011年(イラン)
監督:アスガル・ファルハーディー
出演:レイラ・ハタミ、ペイマン・モアディ
受賞:ベルリン国際映画祭金熊賞・銀熊賞(女優賞・男優賞)、アカデミー賞外国語映画賞ほか。