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TATSUMI マンガに革命を起こした男の一のレビュー・感想・評価

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"劇画"の発案者の一人である辰巳ヨシヒロ先生のアニメーション&ドキュメント。まんだらけの目録に連載されていた自伝漫画『劇画漂流』を軸に、70年代のドス黒い作品群からピックアップされた5本が挟み込まれる構成。コマの中でキャラクターが動いているような辰巳先生の画そのままのアニメーション表現が嬉しい。『まんが道』とはまた違った手塚治虫像も興味深い(「手塚先生が東京に取られてしまう」とか)。最後に出る手塚&辰巳のツーショット写真、マジで"まんが"と"劇画"ってかんじでウケた。辰巳先生ご本人によるナレーションも味があっていい。そして『地獄』とか『いとしのモンキー』とかの強烈さに改めて驚く。アメリカのオルタナティブ・コミック作家エイドリアン・トミネが辰巳作品の英訳出版に熱心に取り組んでいたり、ヨーロッパでも本が出て、フランスでは賞獲って、んでこの映画はシンガポールで製作されてるし、劇画の生みの親であるにも関わらず劇画ブームに乗り切れなかった辰巳先生だったけど生きているあいだに再評価されてホントによかったな~と思うのだった。
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