JIZE

キャスト・アウェイのJIZEのレビュー・感想・評価

キャスト・アウェイ(2000年製作の映画)
3.8
賛:漂流したトム・ハンクスのほぼ無人島ワンシチュエーションもの。まず撮影のためハンクスが約25キロの減量に成功したその役作りに圧倒される。内容は何も突飛な時事が発生しないが4年後など無人島の時間の流れを追体験させて漂流男の経年変化をジワジワ魅せる。時間だけが通り過ぎて気力精力ともに限界を迎えた男の"その後"がメインに描かれる構造そのものは珍しかったように思う。無人島生活で疲労した男が再び人間としての暖かい心を取り戻す。

否:中盤のサバイバル描写が割と冗長で外部が絡んだり大自然の猛威が大々的に描かれるわけでもないため観る人によって退屈してしまう間延び要素が濃い映画だったように感じた。宅配物が漂着してその中のバレーボールにウィルソンと名前をつけて孤独を紛らわせたりココナッツと蟹しか食べず餓死寸前の主人公に何個かターン毎に訪れる生還への希望を描けば良かったかもしれない。無人島生活で困難を極める様をまざまざと見せられるだけなので徐々に観てる側もツラくなってくる映画に感じた。

冒頭で主人公が普通の生活をする漂着前のくだりやその過程を丁寧に描き込んでるだけにサバイバル描写がユーモアに欠けてしまいリアリズムをだいぶ意識した映画なのかなと感じました。海中で足を怪我するシーンは尋常でない痛さが伝わり無人島生活の過酷さを痛感させられる。トムハンクスが全編ほぼ一人で演じ切ったという意味では類を見ない映画として後にも先にも素晴らしい作品だと思う。全体的に相手と対話する事の大事さを投げ掛けているような気がした。終盤で場所は違えど主人公が一人残り誰も居ない空間の中で簡単に火を付ける道具を手にする描写はやるせない複雑な感情になりました。
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