銀幕短評 (#254)
「キャスト・アウェイ」
2000年、アメリカ。 2時間 24分。
総合評価 74点。
前回「アラジン」(#253、76点)に次いで、無人島のはなしを。
FedExの国際小包を配達するマネジャーが、太平洋の絶海の無人島に ひとり流れ着くものがたり。
この映画はみなさん1、2回は観ていると思うが、わたしは3、4回くらい観ており、つど おもしろい。「バック・トゥー・ザ・フューチャー」シリーズのロバート・ゼメキス監督作品。彼の映画は、よくできている。
トム・ハンクスの主演がうまいのはもちろんのこと、カメラが圧倒的にいい。心理描写がうまい。
喪失感、喪失感。生きていれば 何かを獲得するものだが、彼は残酷なことに、すべてを喪失し続ける運命に置かれる。そこから立ち直れるだろうか。そうだとすれば、どうやって。
無人島であっても いい話し相手がやはり必要なのだ。人間は ことばで考え ことばを話す動物だから。
以下、以前に書いた 島流しにまつわるおまけ。
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無人島行き 前夜の巻。
ほんとうはきょうしないといけない仕事をまああしたでもいいやとあきらめ、本でも読もうと棚を見渡しても目新しい本もなく、ネットサーフもよい波が来ず、会わない友だちにメールを送っても返事がなく、もっていく本も選んだしそろそろ無人島に行く潮時かと腹をくくって、、
いや、その前にシャバで やっておきたいことリストを作ろうと思い立つ。キリがないので、10に限ろう。もちろん費用は無制限の条件だ。想像のつばさを拡げよう(これはタダだ)。
① バンジージャンプ
スカイダイビングはやったし、スクーバダイビングもした。絶叫系が好きなわたしに、これははずせない。ただし、無人島に立派な渓谷がある場合を除く。といっても ひとりなので、その場合 飛び降りたら自動的に日干しだが。
所要 1日。
② 墓まいり
わたしは墓に参らない。はっきりと好きな先祖がいないから。とはいえ今生の別れなので、この際 義理を果たそう。
所要 3時間。実家が近いのだ。
③ 鈴鹿サーキット
か、できればドイツの聖地ニュルブルクリンクをぐるぐる終日走る。使用車は、去年きっぱり手放したはずの空色のホンダ S2000を無理やり借りる。現オーナーが変なウイングなど付けていたら、もちろん 即 はぎ取る。
所要 1日、か5日。となりに誰を乗せようか。
④ 釣り
毎日が日曜日になるので、夕餉の卓を華やいだものにするためには、海釣り川釣りをひと通りマスターしておく必要がある。近くの大学の農学部水産科の大学生に 詳しく教えてもらおう。ついでに秘伝マグロの養殖法も習おう。
所要 1週間。
⑤ 水上飛行艇
禁断の乗り物。島の上空と近海を巡るだけなら、ルール上 ギリセーフだろう。
所要 免許取得に1年間。か、合宿で3か月。
⑥ 農業
これもやはり農学部の学生さんに教えてもらって、健康的で豊かな食生活にしよう。
所要 1年間。
⑦ アルバムを作る
こんなものは、たくさんあっても仕方がない。一冊にまとめる。
所要 半日。
⑧ ヨガ
瞑想は得意だ。妻にこっぴどく叱責されるたびに、涙眼は開きつつも 意識は深海へと沈潜する。森でクマに襲われそうになったときに役に立つかもしれない。
所要 3日。
⑨ ヤバいものを処分する
所要 3分。いうほどはない。
⑩ 巡礼の旅
いままで迷惑をかけた女の子と むかし女の子だった女のひとに詫びと別れを告げる。ほんとうは そういうつもりじゃなかったんだよ と。
所要 ときと場合による。
やっぱり、あと10は ほしいな。
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