KnightsofOdessa

プリティ・ウーマンのKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

プリティ・ウーマン(1990年製作の映画)
3.0
No.856[私が全身アルマーニ着てもこうはならない] 60点

導入が強引な現代版『マイ・フェア・レディ』といったところかと言いたいところだが、同作が"階級差の隔たり"についてロジカルに破壊しようと目論んでいたのに対して、本作品では所有すること/されることを資本主義的な観点から眺める映画だった。しかし、私が金持ち伯爵夫人とかに囲われて全身アルマーニのスーツ着たってここまで急速に"優雅"になれるかというと微妙なとこで、前提として私が吉沢亮じゃないといけないという高すぎるハードルがあるんじゃないかということに気付いてしまって考えるのを止めた。結局は現代の"上流社会"なんて貴族社会のお作法のマネごとによって成り立っているから、金で着飾ればなんとかなるという暗喩なのか。いや、イギリスとアメリカというお国柄の違いも絡んでくるだろうし、アメリカの中でも西部と東部で洗練のされかたが違ってくる。だからこそ、ギアが東部出身なのに対して、ロバーツが西部出身という設定なんだろうし、二人が出会うハリウッドという場所=夢が叶う場所!という1920年代くらいに終わった風潮を再興させようとしているのかもしれない。根本的に何かが解決したわけでも変わったわけでもないし、正直"ドレスを着て娼婦からレディに変わった!"というより"ドレスを着たら元通りのジュリア・ロバーツになった"って感じで感情も湧いてこないんだが、もうそれで良いんじゃないすかね。
KnightsofOdessa

KnightsofOdessa