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戦艦ポチョムキンのTSのレビュー・感想・評価

戦艦ポチョムキン(1925年製作の映画)
3.2
【市民ケーンよりかはわかりやすいが…】
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監督:セルゲイ・M・エイゼンシュテイン
製作国:ソ連
ジャンル:戦争・ドラマ
収録時間:66分
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映画史黎明期において必ず名前が挙がる今作。かの淀川さんも生涯見た映画の中で、今作はチャップリンの『黄金狂時代』と一、二を争うほどのものだと仰ってます。

1905年、ロシアの戦艦ポチョムキン号にて水兵の反乱が起きる。それは、蛆虫が入っているボルシチを食べさせられるということから発生したのであるが。

史実に関係している作品であるため、『市民ケーン』よりかはわかりやすかったです。何故に『市民ケーン』を比較対象に持ってきたかというと、今作と『市民ケーン』、そして『國民の創生』は映画史を変えてきた傑作であるからです。しかし、この「傑作」というのは世間からの普遍的評価なのですが、僕は哀しいかな、まだまだこれらの作品の真の良さを理解出来ていません。これらの作品を十二分に味わう事ができて初めて「映画通」と名乗れるかと思います。日々、感性を磨いていきたいと思います。

とは言うものの、今作も個人的には「普通」といったところです。有名なオデッサの階段における乳母車のシーンなど、必ず挙げられる箇所を見ても、なるほどねー、、としか思えないのですね。確かにモンタージュ法云々を確立させた作品としては非常に貴重であるのかと思います。しかし、僕みたいな素人からすると、「言われないとわからない」。そして残念なことに、現段階の僕では、「言われてもよくわからない」という状態であります。

これは昨今の世界遺産にも当てはまります。つい先日、東京都の国立西洋美術館が世界遺産に登録されました。暫定リストでしたし、世界遺産好きなので去年に訪れたのですが、お世辞にも凄いとは思いませんでした。世界遺産検定やらなんやら持っているのである程度の知識は(少なくとも映画よりは)あるのですが、こういう物件が多いと常々思ってきました。何が凄いのかよくわからないというものです。それは、単に僕の美的感覚が欠落しているものと思われますが、少なくとも似たようなことを思っている方はいられると思います。

話を戻しましょう。つまり今作も、まごうなき傑作であると思われるのですが、面白さで言うと「普通」です。何もクラシックを敬遠しているわけではありません。現に『西部戦線異状なし』は僕のベストムービー5位に入ってます。長々と駄文を書いてしまいましたが、つまり面白かったり感銘を受けたものには僕は高スコアを出しているということです。今作の「凄さ」というのを僕が感受できなかった。ただ、それだけであります。

それでもオデッサの階段のシーンはやはり異様でしたね。当時の映像技術を考えると、確かに相当凝っている。そして歴史的事実としても、このポチョムキンの叛乱は非常に重要な意味を持つでしょうね。つまるところ、日露戦争は両国から見ても消耗戦に過ぎなかったということですね。
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