ねむ

戦艦ポチョムキンのねむのレビュー・感想・評価

戦艦ポチョムキン(1925年製作の映画)
3.8
勧められて観てみたが、サイレントだと知らなかった。
音楽の流れる本みたい。
こんなに台詞が削ぎ落とされているのに、現れるシーンの意味が頭にドッと押し寄せてくる。

私は『みんなが言ってる』とか、自分の意見を強めるために『みんな』をつける心理が(自分が使う状況になることあったとしても)とても苦手だ。
何かの集団があって、その中で権力を持ったと自覚した人にとって彼らは『自分の動かせるみんな』という1つの塊になるんだろうか。もう個人ではなくなるものなんだろうか。
それは人間の持つどんな性質なんだろう。
世界で、色んな集団の中でこれが起きている。
全員の意見が一致することなんて絶対にないけれど、人が生きることに対して危機感を持ってしまったら、その集団はもうコントロールされつくして滅びるか、反乱して滅びるかという選択が迫ってくる。

そんなのわかりきっているのに、スイッチが入るまでやり込めてしまう頂点の存在ってなんでいつも止め時がわからなくなるように出来てるんだろうか。

『力』ってなんなのかなー。
人間って学習しない愚かな生き物なのかなー。
『兄弟!!誰を撃つ気だ!!』
優しさや思いやりの心を下に見て蔑むようになったら何かが終わっちゃう。
それをやっちゃあおしまいよ、と昔の俳優さんが誰か言ってたような。。

というか、歴史がいくらその末路を証明しようとも同じようなことが繰り返され、壊れていく過程が止められた試しがないように思う。
まるで地球という細胞の中で絶え間なく起きている核分裂みたいじゃないか。

人間とは、考える葦ではなくて
考えたり考えなかったりする細胞の中の一粒なのでは??

ポチョムキンなんて可愛い名前だと油断した。
何にもいないというのに、足元に小さな虫が這い上がってくるような違和感。
それはウジ虫より遥かに小さな。

砂山を作っては崩し、また作るそれの繰り返しなのかな。。

追記
音楽のセンスが好みだった。

追記2
誰が特別主人公とか立ってるわけでないのに、その場面、その場面の一人一人がものすごくよく見えるの興味深かった。
群勢と、1人と、際立つのはなぜ?
ねむ

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