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白い恐怖のろのレビュー・感想・評価

白い恐怖(1945年製作の映画)
5.0

「過ちの理由は運命ではない。我々自身だ」

精神病院に赴任してきた新所長エドワーズ博士。
研究一筋だった女医コンスタンスは若くハンサムな彼に惹かれ始めるが、その様子に違和感を覚える。
博士の著書に書かれたサインと異なる筆跡
シガレットケースに書かれたイニシャル’J.B’
コンスタンスは彼がエドワーズ博士ではないことを悟る。
やがてエドワーズ博士の失踪が明らかになり、J.Bは容疑者として追われることに・・・。

記憶喪失のJ.Bと彼の記憶を取り戻し無実を証明しようとするコンスタンス。
エドワーズ博士とどうやって知り合ったのか、二人でどこに行ったのか。
駅の窓口であのときと同じ切符を。
手の甲にできた火傷の跡は。
ホテルでも車内でも精神分析を続けるコンスタンスとJ.B。記憶を取り戻したいと願いながら向き合う辛さを拒絶し、その発作が収まるとまたもとのその人に戻る。病気の症状とその人自身が入れ替わり現れるJ.Bことグレゴリー・ペックの演技に痺れる。

「この部屋が変わったと思ったけれど、そうじゃない。私が変わったのね。部屋のすべてが美しく見える」
理性的だった彼女の心に愛の感情が湧き上がると、いくつもの白い扉が開いていく。ゆっくりと一直線に開かれたその扉にオーバーラップするキスシーン・・・
医師として恋人としてJ.Bを支えるコンスタンスは、J.Bの記憶を取り戻す中で自分の人間的な感情や葛藤を取り戻していく。

「夢診断はデタラメじゃない。君が何者で、なぜ自分自身から逃げるのか、その秘密は脳の中にあるが、君はそれを見るのを拒否している。人間は本当の自分を知ると心が病むと思うからだ。そこで夢の出番となる。夢は隠された心理を語るが、パズルのようにごちゃまぜになっている」
大きな目が描かれたカーテン、その目を切りながら歩くハサミ男。
キスをして回る女。屋根の斜面をゆっくりと落ちていくひげ男。坂を駆け下りる自分・・・

寒い季節ならではのフォビア(恐怖症)の正体。
ダリの描く夢の世界がすべてを語る。


( ..)φ

ようやく観れました、「白い恐怖」!
ヒッチ作品はこれで14本目なのですが、これめちゃくちゃ好きだ・・・もともと「サイコ」と「マーニー」が好きなのですが、そこに食い込んでくるぐらいめちゃめちゃ気に入ってしまいました。

フォビアだらけのバスルームに追い詰められたJ.Bがカミソリを持って2階から降りてくる、1階まで降りたところで暗闇に光るカミソリが大写しになる・・・ミルク飲んでるじいやん(ブルロフ博士)危ないで!とハラハラしました、じいやん全然大丈夫だった・・・。
コップ越しに映るじいやんとミルクの白が画面いっぱいに広がるカットも最高にかっこよかったなぁ。

そしてきました夢のシーン。ダリの絵が~立体になって映像になって動いてる~ってもうそれだけで白飯3杯ペロリです\(^o^)/
ろ