[すべての物が白か黒なんだが] 60点
最近になってようやく"ロシア映画は長い"ってことを思い出した私は、一旦頭を冷やすために"1001の映画"の方に戻ることにした。本作品はヒッチコックのキャリア中期中盤バーグマン時代最初の作品であり、彼女の最も脂が乗ってた時期に製作された作品である。あんまりメガネは似合ってないんだが、それも含めて可愛い。
精神病患者と"信頼できない語り手"というジャンルに属する作品であるが、リトヴァク「蛇の穴」と違って精神科医という専門家が探偵役を務める。から、理論で攻めてくるせいで途中はダレる。そして、モノクロであるがゆえに"白"への恐怖について反応を示したのが何色であるかを口で説明しなきゃいけないってのは設定の敗北だろう。だからこそ負けず嫌いヒッチコックは後年「マーニー」で"赤"への恐怖を映像で綴ったのだろうけど。
ラストで観客を撃ち殺すヒッチコックの精神状態を誰かが診てやらんといかんのでは。