ニクガタナ

月光の夏のニクガタナのネタバレレビュー・内容・結末

月光の夏(1993年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

低予算でスペクタクラない日本のまじめな戦争映画。公開当時仲代達矢目当てで劇場鑑賞した本作を約29年ぶりに再鑑賞。実話を元に創作した小説が原作。終戦間近の鳥栖で、死ぬ前にグランドピアノを弾きたいと小学校へ来た特攻兵達の思い出を現代に語った元教諭の話がTVのニュースに乗り、新聞社がその特攻隊員の消息を追い見つかるもその思い出は記憶にないと言う。元特攻兵は何を隠したかったのか、それを追うミステリー調の展開。現代と1945年を行き来する構成が何気に上手い。エモらない「永遠の0」みたい。神山征二郎監督の手堅い仕事。ドキュメンタリー作家役の山本圭と元特攻兵役の仲代達矢の細かい表情芝居が上手い。飛行機の故障などの事情でやむなく帰還した特攻兵達が、これから死に行く特攻兵たちの士気が下がるからと死んだことにされて存在を隠され幽閉されていた「振武寮」での屈辱と絶望の日々をもう少し掘り下げて欲しかった。空撮素材に対してのミニチュア特攻機の合成が当時の技術を勘案しても超ど下手。石野真子もド下手。鳥栖や知覧、大牟田、阿蘇の郷土や祭り、施設を紹介する地方PR感がなんか懐かしい感じ。繰り返し弾かれるベートーヴェンの「月光」のピアノの悲しい旋律が胸を打つ。
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