垂直落下式サミング

13日の金曜日の垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

13日の金曜日(2009年製作の映画)
4.0
1980年13日の金曜日。クリスタルレイクにて発生した殺人事件の犯人パメラ・ボーヒーズがひとりの生存者によって返り討ちにされる。時は経ち、母の意思を継いだ息子ジェイソンが殺人に手を染めていく。キャンプに訪れた若者たちに殺人鬼の魔の手が迫る。人気ホラーシリーズの第十二作目に数えられるリブート作品。
PART1からPART3くらいまでのストーリーを一本にまとめているわけだが、PART1はオープニングの数分で終了。ここはジェイソンが殺人鬼になってしまった原点の部分でもあるため、鑑賞にあたって「ジェイソンとは何か」の知識はある程度必要となる。
エロとグロテスクさが過剰進化。殺されガールズはみんなボンキュッボンなプロポーションのいかにもアメリカン好みな感じだ。脱いだ奴から殺す。出し惜しみをしない姿勢が好き。あと、ジェイソンは運動神経がいいので初心者なのに弓矢が上手。すごい。
過去作品からの切り貼りよって構成された網羅的な内容だが、そもそも『十三日の金曜日』はシリーズがいくつも続いたことによってアイコン化していった作品であり、私が見たところ「これが決定版!」と呼べるような誰の目にも明らかなほど突出した一本は存在しないため、このデジタル時代において、各話に散りばめられたエッセンスを一本に集約し再構築するという試み事態は正しいし、これを待っていたファンも一定数いたと思う。
証拠隠滅に頭が回ったり、母の面影を感じる女性を殺さずに監禁しているなど、過去作になかったオリジナル設定は賛否が別れるところではあるが、私は好意的に受けとることにした。PART4に出てきた妹を助けに来た兄の人物設定をドラマとして掘り下げていたりもして、それなりにうまく扱っていたと思う。
ラストにかけて尻すぼみになっていく感は否めないが、一連のマイケル・ベイ製作のホラーリメイクのなかではアクション化と題材とが一致しているため、現行の技術的達成によって正統にブラッシュアップされたリメイクとして評価したい。オリジナルファンの強すぎる愛ゆえの声の大きさに引っ張られて、不当に過小評価されている気がする。