オードリー・ヘップバーンが七変化の衣装と共に見せる様々な表情を眺めているだけで楽しい作品。野良猫のようにマイペースで気まぐれ、しかしその内には少女のような臆病さと緊張を抱えている。そんな主人公のキャラクターに華やかさと憂いを同時に携えるオードリーの佇まいが抜群にマッチしていて、彼女への愛おしい感情に誘われた。しつこいほど流れるムーン・リバーの曲の力も強く、聴く度に理由なく刹那やさしい気分にさせられた。そして、そんなムーン・リバーをBGMに始まる冒頭の朝食シーンはいきなりクライマックスかと思うような美しさで心に残る。しかしながらこの邦題、響きはとても良いのだが、映画の内容を踏まえると「朝食を」ではない気がする。