ピュンピュン丸

宮本武蔵 一乗寺の決斗のピュンピュン丸のレビュー・感想・評価

宮本武蔵 一乗寺の決斗(1964年製作の映画)
2.9
萬屋錦之助『武蔵』の5作め。子供の頃の憧れの剣豪宮本武蔵の生きざまだが、ある程度大人になってから見ると、呆れてしまい、感動できずじまい。如何に高尚そうなこと言っても、自己の剣技を磨くため、無遠慮に決闘を挑み、挙げ句の果て、大量殺戮をして悦に入っている。言語道断だ。大義がある戦争でさえ、いかがなものかというのに、武蔵のはあくまで私闘にすぎない。

自分にとって、吉川英治作宮本武蔵のお通が理想の女性だったが、今思えば、男側から見た身勝手な女性観でしかない。お通は男の妄想の産物にすぎず、妄想から我が物にしようとし、その心を射止めんとし、その笑顔を見続けようと考え始めたとき、初めて男女のみちが始まるのだ。武蔵は何も始めず、責任から逃げているにすぎない。

武蔵が『八ッ墓村』にしか見えなかった。

本阿弥光悦ら一流の芸術家たちの台詞には奥深いものはある。

錦之助以外では、佐藤慶、東野英治郎、そしてガチョンの谷啓が印象に残る。

完結の佐々木小次郎との勝負に期待😃