三樹夫

宮本武蔵 一乗寺の決斗の三樹夫のネタバレレビュー・内容・結末

宮本武蔵 一乗寺の決斗(1964年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

武蔵またもや説教を受ける。沢庵、日観ときて今作は吉野太夫(遊女)から、要約すれば、お前の顔には死相が出てるし、余裕なさ過ぎてガチガチ過ぎだし、そんなんじゃ吉岡道場の門弟に切り殺されるでとガチ説教。死相が出てるというのを表現するのに、ゾンビ(1978)のメイクのように、中村錦之助が青白いメイクをしている。
今作では吉岡清十郎の弟伝七郎戦(すぐに勝負がつく)、吉岡道場の汚名返上と、吉岡道場の門弟70人以上との一対多数の戦いがある。吉岡清十郎および伝七郎戦で武蔵は遅刻をかまして、吉岡道場の門弟から遅れてくるのはあいつのいつもの手と言われ、巌流島への前振りとなっている。

沢庵を越え、日観を否定すると奮起する武蔵であるが、しかし日観の頭使って勝てという説教をなぞるかのようになっている。一人でどうやって吉岡道場の門弟70人以上と戦うのかと思っていたら、奇襲作戦というか、敵の本陣の裏側から不意打ちでしかけて、まず木の上の鉄砲持った奴を殺して、その後一目散に敵の大将を切り殺して(大将は子供)、後はひたすら逃げるという(情けなくわめいて逃げる。家康でいう焼き味噌状態)、外道剣みたいな戦い方して、比叡山の坊主からボロクソに言われる。俺は何一つやましいことはないと吠える武蔵であったが、木彫りの仏像を彫っていることから、子供を切り殺したことへの呵責、救いを求めていることは明白である。逃げ切った後の画面一杯の赤いシダの葉の中に寝転ぶ武蔵は、この男は血にまみれているということが分かりやすく示されている。
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