HarukaFukuda

自転車泥棒のHarukaFukudaのレビュー・感想・評価

自転車泥棒(1948年製作の映画)
4.0
つらい。痛ましいなあ。痛々しい描写は全くなくとも、心にぶすりと刺さって切なくなります。こんな切ない時代があったのか。
社会的なつらさも全編を通して感じるけれど、とくにクライマックスの一線を超えてしまった父と、それを目にする息子、そのお互いのつらさがまたとんでもなく沁みる。あの演出のうまさ。唸ってしまう。

レネ・クレマンの名作「禁じられた遊び」にも似た、微笑ましくもありながら観ているのがつらくなってしまう映画だね。

ラストまでそうだ。
なにも解決しちゃいない。二時間の映画枠は終わる。でも、映画の中のこの父子の人生は終わるわけではないんだよね。このまま続いていく。自転車が見つかろうが見つからまいが、仕事が軌道に乗ろうが、クビになろうが。
それを思わせるラストカットでした。

それを見越してなのか、俳優ではなく、街を歩いていた少年とクビになった電気工をキャスティングするという監督の心意気。
だからなのか、へんなキラキラ感のない、リアルな底辺さが浮かび上がってくる。街の景色と溶けこんで映像が素晴らしいね。