ほーりー

自転車泥棒のほーりーのレビュー・感想・評価

自転車泥棒(1948年製作の映画)
4.0
この映画を観るまで、イタリアはどこのレストランでもピザが出てくるもんだと思っていました。

普通のレストランでは専用のピザ窯がないのが当たり前で、ピザが食べたいときはピザ専門のレストランであるピッツェリアに行かなきゃないんだね。

あ、失礼。ピザじゃなくてピッツァでしたね!

戦後の映画界に旋風を巻き起こしたヴィットリオ・デ・シーカ監督の「自転車泥棒」。

ある失業者が自転車を盗まれてしまい、幼い息子と一緒に自転車を探しに行く……ただそれだけのストーリー。

捻りもなく伏線もなく、ひたすら親子が盗まれた自転車を探すだけの映画。

なのに、これ程までに胸を締め付けられる辛く悲しく重い映画は他にあまりないと思う。

主人公はそれまで2年間も職にありつけず途方にくれていた。そこへポスター貼りの仕事の口が見つかる。

喜ぶ男だったがその仕事は自転車を持っているのが就業の必須条件とのことで、妻に頼み込んで家財道具を質に入れて自転車を購入する。

が、働きはじめて初日にこのお父さん、早速自転車をパクられてしまう。

警察には被害届を出すものの、あとは自分で探せと言われてしまい途方に暮れる。

そんなダメパパに健気に寄り添うのが6才の息子。

心が傷ついたときに無垢な存在に寄り添ってもらうことほど心強いものはない。

本当に救いのないストーリーなのだが、ラスト、父親の手を息子がギュッと握るシーンがホッとさせられる。

■映画 DATA==========================
監督:ヴィットリオ・デ・シーカ
脚本:ヴィットリオ・デ・シーカほか
製作:ヴィットリオ・デ・シーカ/ジュゼッペ・アマト
音楽:アレッサンドロ・チコニーニ
撮影:カルロ・モンテュオリ
公開:1948年11月24日(伊)/1950年9月8日(日)
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