ジャッキーケン

自転車泥棒のジャッキーケンのレビュー・感想・評価

自転車泥棒(1948年製作の映画)
3.0
俺が想像してた自転車泥棒は自転車を盗まれたことをきっかけに犯人を追い詰めるも犯人も犯人なりの事情を抱えていてそれを一緒に解決してハッピーエンドめでたしめでたしなハートフルなものを想像してたわけなんですけど…

普通に鬱映画じゃねーか!
報われねえ!

戦後のイタリア、職を求めて溢れかえる人々の中に運良くビラ貼りの仕事を得たアントニオはなけなしのシーツを売った金で自転車を買う、その自転車で仕事をするのだが自転車を盗まれたことで息子ブルーノと共に犯人探しすることに、という単純な泥棒チェイシング映画

第二次世界大戦後のイタリアの困窮した様子は誰しもが苦しんでいた時代を写していて、レストランで良いものを食べている中、お金持ち家族はもっと豪勢に食らっている様子はふつうに飯テロ

アントニオが自転車を探してひたすら駆け回るのだけど見つからない。犯人の手がかりを抑えようと接触してたおじいさんを追って教会の中で説得という脅しまくる。ここの追う教徒が祈りながら父親を追いかける場面はコミカルで面白かった

クライマックス、犯人らしき人物を捕まえようとするも地元のテリトリーで圧倒されるところはトレーニングデイのクライマックスを彷彿とさせるしワイスピ7で地元を知る奴が勝つという法則を確立させたドミニクのセリフを思い出させる

ハッピーエンドとは程遠いラストで胸糞とまでは行かないけどやるせない気持ちになる。仕事がなくて苦しい描写を見せられた前半を見たから余計にこれからこの家族はどうなってしまうのだろうかという切なさが押し寄せる

チャップリンとかそういう喜劇っぽい感じのを見ようとしたらガツンと笑いどころかこの家族の将来が不安で仕方がなくなってしまった…