タカシサトウ

こうのとり、たちずさんでのタカシサトウのレビュー・感想・評価

こうのとり、たちずさんで(1991年製作の映画)
4.0
 何とも不思議な、そして、魅惑的な映像。黄色い雨具も。

 ストーリィは、国境を隔てて、国を捨てて異国に行かざるを得ない人達、難民の少女が婚約者と国境の川を境にして対面せざるを得ないような現実を見せていく。

 疾走した政治家なのか、難民の少女の父親なのか、どちらか分からないけれど、そういう人物をマルチェロ・マストロヤンニがやり、政治家の元妻をジャンヌ・モローという大物が演じている。

 けれど、主役はこの二人よりも、そういう国境に疑問を投げかけるテレビレポーターのアレクサンドロス(グレゴリー・カー)であり、彼を国境に案内する大佐になっている。彼らの案内が、私には入り易くてとても良かった。
 
 アレクサンドロスと少女との愛の関わりは、突然過ぎて疑問が残るが、そういう国境に翻弄される人達を見せて行くことはよく分かるし、国境が人達を分断していくことが示唆されていて、それがテオ・アンゲロプスの投げかけて来るテーマだと思う(2022.1.16)。