Mikiyoshi1986

アメリカの影のMikiyoshi1986のレビュー・感想・評価

アメリカの影(1959年製作の映画)
4.3
12月9日はアメリカにおけるインディペンデント映画の礎を築いたジョン・カサヴェテスの生誕87周年!

本作は元々ハリウッド俳優でもある彼が手掛けた記念すべき監督デビュー作であり、
自主制作という自由なフィールドで、まったく新しい手法から映画と対峙するに至った実験的かつ意欲的な傑作であります。

アメリカ映画=ハリウッド映画という既存の枠を打ち砕くほど沸々としたエネルギーに満ち溢れた本作。
徹底した個々の役作りにより、即興演出から発生するセリフと演技の連続性は謂わばドキュメント的なリアリティーを以てストーリーを構築していきます。

ニューヨークの喧騒の中、混血三兄妹それぞれのドラマツルギーに焦点を当てつつ、59年当時の生々しい息吹きをカメラに収めるに至ったカサヴェテス。
こうした彼の視点は(ヨーロッパ映画とアメリカ映画の差異を照らし合わせると)極めて欧州人に近い感覚であり、
白人である彼が当時の黒人のアイデンティティーを静観なる眼差しで見つめた先には、時代の最先端をゆく多くの創造性を携えていたのでした。

そして本作を「SHADOWS」と命名したセンスも脱帽する他ありません。
Mikiyoshi1986

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