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森の学校のnatsuのレビュー・感想・評価

森の学校(2002年製作の映画)
3.6
2002年にわざわざこの映画が制作されたことに驚きもある。
2000年代って現代ですよ、意外に最近ですよー。なのに、まるで昭和のはじめに撮ったかのような、とにかく昔懐かしい映画の作りにしてあるのだ。

戦前?戦中?昭和10年代くらいかな??の里山の子どもたちを描いた映画。わんぱく少年たちが野山を駆け回ったり、イタズラしたり、喧嘩でケガしたりさせたり、逃げたり怒られたり。。その上祖母からもらった机を森に捨てちゃう…なんてひどいことさえしているのに、親はその子どもの気持ちをおおらかに読んでいたり。笑 なんとも微笑ましい感じに出来上がっているのだけど。。この時代だから、なんでしょうか。

体が弱くて熱を出してばかり。学校も休みがちでついていけない。そんなマトくんが主人公。昆虫やら動物を飼うのがとにかく好きで、家に動物園を作っている。うさぎにフクロウにモルモットに…
いつか森の動物園を作るのが夢。

原作は動物学者の河合雅雄先生の回想録。主人公となるミトくんは兄弟の3番目で、実は5番目はあの河合隼雄氏だということをウェブで知った。

正直、子どもたちの心情を細かに汲んでいるような物語ではなく、当時のあるがままを再現といった感じで。それがまた昭和の映画っぽさにつながっていて。
今の子どもからしたら(わたしからしても)映像やストーリーには古くささも漂っていて、それほどおもしろいものではないのかもしれないけれど、この時代を知るよい映画にはなっているとおもうのです。

そして映画の中では、やっぱり春馬君は輝いていて。たくさんの子どもたちを並べても、彼が主役、というのが納得できてしまう。
加えて、両親役の篠田さんと神崎さんが、素晴らしい存在感!役柄としても、厳しくもおおらかで時代の先をいく父と母がとても素敵でした。この2人だからこその、子どもたちなんでしょうね。(河合雅雄、河合隼雄のみでなく、調べたら子どもたちみんなすごい人に育ってました!)
……

シネウインドで鑑賞。この映画は春馬さんの一周忌を挟んで上映されていたので、追悼の意味もあったようですが、実は河合雅雄先生本人もこの5月に亡くなられていて、図らずもおふたりの追悼映画になったとのことでした。
パンフも月刊ウインドもわたしは事情で買いそびれてしまったので、詳しい事情はわからないのですが、後ほど新聞の追悼抄の記事で雅雄先生の訃報を知り、映画館のサイトで確認した次第です。合掌。

それにしても、春馬ファンからの各地からの問い合わせはすごかったみたいで、表紙に使った月刊ウインドは、ものすごい数が各地に旅立ったそうです。コロナ禍じゃなければ、一周忌ということも相まって、県外のお客さんも溢れていて席も取れなかったかもしれないなあと。。


ある作品をきっかけに、7.8年くらい前からわたしは三浦春馬のひっそりファンで。ひっそりという割には新作の舞台や映画を見るために、いろいろなところに出かけたり、本や雑誌を読み漁ったり、かなりマニアックに春活はしていたのですが。

森の学校はその頃から、子役時代の幻の映画と言われていて、文部省推薦の冠のとおり、自然とか教育関係とかそういった類の上映会でなければ見ることのできなかった作品で。DVD化はしないとのことで、私が見ることはないだろうなー、とずっと思っていたのでした。
ところが、彼の急逝により、ファンの投票でドリパスで取り上げられて上映が決定。各地へも上映拡大!となり。。
上映決定するにあたり、デジタル化された話を見聞きしました。全ては、春馬さんを観たいという昔からのファンの力だと思うのですが、この映画をデジタル化したこと、上映拡大されているのは、春馬さんを見るということだけでなくて、いろいろな面で意味のあることのように思います。

そして、おかげさまで、ドリパスとは関係ないようなこんな地方でも見ることができるようになったことは感謝感謝!なわけです。
まあ、この映画をシネウインドさんでやってくれるのはとってもお似合いというか、春馬さん絡みでなくてもウインドではいつか取り上げたのではないかな。そういう映画館だとおもうから。


最後。いつものごとく追記をすると…
春馬さん効果で、スコアがまた爆上がりしているのが、やっぱり映画ファンとしてはモヤモヤするとこで。。わたしは映画サイトではフラットな気持ちで作品の点数をつけたいのです。
といいながら、わたしもちょっとオマケしてるかもな。これでも笑

以上、おしまい。

2021.7
natsu

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